Winny ネタバレ

私がパソコンを手にしたのは1990年代の初頭だった。NECの名機と言われたPC98シリーズを友人から安く譲り受け、一太郎やLotas123を使っていた。そして、電話回線を使ってやり取りできるということで、モデムなるものを購入し、友人とパソコン通信をしていた…

グッバイ レーニン!

他の人も同じだと思うが、僕は子どもの頃、「噓つきは泥棒の始まり」と事あるごとに言われた。そして、昔話や童話などでも、正直者が得をして、嘘つきは罰が当たることが定番だった。そうやって、嘘はいけないという人格が形成されていった。しかし、青年期…

予告犯 ネタバレ

ある日、動画サイトに新聞紙製の頭巾で顔を隠した謎の男が現われ、集団食中毒を起こした挙句に開き直った食品加工会社に火を放つと予告する。警視庁サイバー犯罪対策課のキャリア捜査官・吉野絵里香は、その謎に包まれた予告犯「シンブンシ」の捜査を開始。…

シンウルトラマン ネタばれ

「人類はウルトラマンが自分の命を賭すほどの存在なのだろうか?」 映画を見て真っ先に考えたことがそれだった。 昭和の頃、私も他の多くの少年達と同じように、ウルトラマンシリーズを欠かさず見ていた。そして、ニセウルトラマンの登場の時には、ブラウン…

ドライブマイカー ネタばれ

僕は大学生の頃に「風の歌を聴け」を読んでから、村上春樹の作品をずっと読み続けている。小説の中の「僕」の欠失感を自分と重ね合わせたり、登場人物たちのしゃれた会話に感心したり、彼の軽妙なレトリックにうならされたりしていた。しかし、一番の魅力は…

ポリコレの正体 福田ますみ

著者の福田ますみさんの名前は知らなかったが、福岡の「殺人教師」事件や「長野・丸子実業高校」の報道が、実際はモンスターペアレントの言い分をうのみにしたでっちあげだったことを調べ上げた記事を読んだことがあった。最近のマスメディアが事件の表層だ…

新型コロナ「正しく恐れる」レジュメ

新型コロナ「正しく恐れる」問題の本質は何か 西村秀一 本当の専門家?が書いた本であり、説得力がある。 ○リスクコミュニケーションの失敗 政府、マスコミ、自称“専門家”が国民に対して過度にならない、適切なリスクを発信し、共有することに失敗している。…

コロナ騒動記2

前回の投稿から半年あまり経ったので、再びコロナについて語りたいと思う。投稿に際して、前回の文書を読んでみて驚いた。ほとんどその頃と変わっていないのだ。もちろん、ワクチンの接種は進んでいるが、医療崩壊を叫ぶわりには、コロナ受け入れ病棟はあま…

生贄探し まとめ

他人が失敗したり、不幸に陥ったりしたときに、思わず湧きあがってしまう喜びの感情を残念ながら人間は持っている。これをドイツ語由来の学術用語でシャーデンロイデという。「シャーデン(損害)」+「フロイデ(喜び)」で、他人の損害を喜ぶ感情を指す。この…

凪待ち ネタバレ

無為な毎日を送っていた木野本郁男は、ギャンブルから足を洗い、恋人・亜弓と彼女の娘・美波とともに亜弓の故郷である石巻に移り住むことに。亜弓の父・勝美は末期がんに冒されながらも漁師を続けており、近所に住む小野寺が世話を焼いていた。人懐っこい小…

ジャッジ 裁かれる判事 ネタバレ

有能な弁護士だが真偽よりも勝利にこだわり、金持ちを強引に無罪することで知られるハンク・パルマー。父のジョセフ・パルマーは世間から信頼を集める判事だったが、そんな父が苦手なハンクは、長らく父と絶縁状態にあった。しかし、ある時、ジョセフが殺人…

ザリガニの鳴くところ ネタバレ

ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進…

新型コロナ騒動記

現代社会で一番力を持っている、あるいは影響力のあるものは何だろうか。それはおそらくマスコミが作り出す空気感ではないだろうか。その空気感によって、善良なる民衆はある一定方向に思考が向き、それを世論という形でマスコミが固定化する。そして、それ…

追憶のかけら

すごい作品である。今年読んだミステリーの中でもベスト3に間違いなく入る作品だ。事故で愛妻を喪い、失意の只中にあるうだつの上がらない大学講師の松嶋が、無名作家の未発表手記を入手する。その作家の自殺の真相を究明しようと調査を開始するが、そこには…

20世紀の歴史

とても興味深い本である。20世紀を俯瞰的に眺め「長い20世紀」として1880年代から2000年までの流れを描いている。 この長い20世紀を一言で言うなら帝国主義の隆盛と衰退であろう。そして、そのエポックメイキングな事件は第二次世界大戦ではなく、第一次世界…

罪の声 ネタバレ

実際にあったグリコ森永事件をモチーフに過去の事件に翻弄される2人の男の姿を描く、塩田武士のミステリー小説「罪の声」の映画化である。事件で使われた犯行グループの脅迫テープは3人の子どもの声を使用していたが、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の…

阿蘭陀西鶴 ネタバレ

井原西鶴と盲目の娘おあいの物語である。初めは自分勝手な西鶴に振り回され、盲目なのに家事の一切をしているおあいが不憫で、「偉人の家族は必ずしも幸福では無いなあ」などと同情していた。しかし、「好色一代男」あたりから、父親の不器用な愛情が少しず…

アバウトタイム ネタバレ

ティムは21歳の誕生日を迎えると、父から、一家に生まれた男たちはみんなタイムトラベラーだということを知らされる。いきなり告げられた能力に戸惑いつつ、恋人をゲットするためにタイムトラベルをするようになる・・・ この映画はSFではない、ファンタジー…

殺人の追憶 ネタバレ

1986年から1991年にかけて大韓民国の京畿道華城郡周辺で10名の女性が殺害された韓国史上最初の未解決連続殺人事件、いわゆる華城連続殺人事件をモチーフとした映画である。 韓国人は自国の戦後史について、我々日本人以上に、高い問題意識を持っているようだ…

歴史の教訓 失敗の本質と国家権力

工業化は、昆虫の変態のように社会全体を激変させる。工業化に焦れば焦るほど、伝統社会を強権的に破壊し、作り直したいという衝動が出る。人のものの考え方は急激には変わらないからである。後発の工業国ほど独裁権力人寄る人工的な社会変革を求める。その…

yesterday ネタバレ

もしビートルズが存在しない世界に一人で放り込まれたら・・・。これはビートルズ愛にあふれたファンタジー映画だ。売れないミュージシャンのジャックが音楽を諦めかけたそのとき全世界で20秒間だけ停電が起きて、ビートルズのいない世界になっていた。彼は…

アップグレード ネタバレ

ある夫婦が、謎の組織に襲われて、妻は殺され、夫は全身マヒになってしまう。失意の中、人工知能チップ「STEM」を肉体に埋める手術をし、驚異的な身体能力が発揮される。そして、事件の真相を探っていくのだが・・・・久しぶりに面白いSF映画を見た。最初は…

最初の晩餐 ネタバレ

素材は良い、調理もいい、見た目もいい、だけど、ベースとなる出汁が間違っていると残念な料理になってしまう。今回の「最初の晩餐」はまさにそういったとても惜しい映画だ。 父が亡くなり通夜の席で親戚、家族が集う。父が生前好きだった料理を母が手料理で…

安倍首相退陣に寄せて

安倍首相が病気を理由に退陣したが、歴代最長の在職日数とは対照的に、これほどマスコミにたたかれた首相もいなかっただろう。彼の首相としての功罪を今日の新聞で各紙が取り扱っていたが、あまりフェアな取り扱いとはいえなかった。まあ、最後まで嫌われて…

5億円のじんせい

あなたの人生の価値はいくらだろうか? 「人が生まれてから死ぬまでにかかる日本人の平均金額、約二億百万円。死ぬまでに稼ぐ金額、約二億三百万円。つまり人は、自分が生きるために使う金額を一生かけて稼ぎ、そして死んでいく」というナレーションでこの映…

恋は雨上がりのように

「事実は小説より奇なり」とはよく言うが、この映画は文字通り奇をてらわず、まっとうな作品に仕上がっている。ある意味で出来過ぎの感じさえするストーリー展開だ。 高校生のあきらは、短距離選手として素晴らしい選手だったが、アキレス腱を断裂し、落ち込…

謝罪の王様

些か旧聞に属するが、安倍首相のワンパターンについての違和感をまとめておく。河井善法務大臣夫妻の逮捕に際して発した言葉は、 「大変遺憾であります。かつて法務大臣に任命した者として、その責任を痛感しております」と語り、「国民の皆様に深くお詫び申…

国際市場で会いましょう

どの国にも苦難の歴史がある。そして、苦難の上に現在のわれわれが存在している。どの国にもそういった歴史を表現した映画が存在する。アメリカでは「フォレストガンプ」、日本では「三丁目の夕日」あたりだろう。その韓国版が「国際市場で会いましょう」で…

私は、ダニエルブレイク

「ゆりかごから墓場まで」といわれたイギリスの福祉制度だったが、それはもはや過去の幻影に過ぎない。サッチャーが唱えた新自由主義のもとで福祉は切り崩され、貧富の差は拡大していった。ロンドンでは家賃が恐ろしく上昇し、物価も驚くほど高い。私が10年…

タクシー運転手 約束は海を越えて

いい映画とはどんな映画なのだろうか? 斬新さを基準としている人もいるだろうし、感動を基準としている人もいる。カメラワーク、演技力、意外性、テーマ、物語の展開など人によって様々だろう。もちろん、どれか一つではなく、それらの複合的なバランスによ…