新型コロナ騒動記

 現代社会で一番力を持っている、あるいは影響力のあるものは何だろうか。それはおそらくマスコミが作り出す空気感ではないだろうか。その空気感によって、善良なる民衆はある一定方向に思考が向き、それを世論という形でマスコミが固定化する。そして、それに従って政治家が判断を下す。ここ最近の流れを見ているとこういった一連の動きが繰り返されているきがする。たしかに、SNSの発達により、マスコミとは違う論調が出てきてはいるが、まだまだマスコミのカウンターパートと言えるほどの力はない。むしろ、検察庁法案や種苗法改正案などにおけるSNSの活用を見ていると、マスコミの増幅装置となっている。
 さて、いまさらこのようなマスコミ批判を繰り返してもしかたがない。今回の目的は新型コロナウイルスについて自分なりの考察をすることだ。おそらく、10年、20年後にこの騒動は歴史の中で大きく取り上げられることになるだろう。その時、自分がどのように考えていたかを知るための備忘録として書き記していきたい。
 マスコミは相も変わらず毎日感染者数を大々的に報道している。過去最多とか、曜日別最多とか、週平均最多とか、とにかく多ければ多いほど報道に熱が入る。まるで、台風接近中にやたらはりきっているおやじのようだ。そして、重症者数が増えていくことに言及して、「医療崩壊だ」と叫んでいる。ところが、意図的かは分からないが、彼らは肝心の情報を我々に伝えてはくれない。私が知りたいことを列挙し、自分で調べた範囲のことを付け加えておく。

①重症者の定義と本当のコロナによる死者数。
 (1)ICU(集中治療室)で治療、(2)人工呼吸器を使用、(3)ECMO(体外式膜型人工肺)を使用——この中のいずれかに当てはまる場合を“重症”と定義しているのが厚労省です。一方の東京都は、ICUにいる患者の中で、人工呼吸器もしくはECMOを使用していない患者を重症者の集計から除外しました。(2)か(3)に当てはまる患者だけを“重症”と定義した。

 まあ、どちらが正しいかなどは専門家でもないのでわかりませんが、問題なのは毎日見る数字の定義がばらばらである事です。他国の重症者の定義を調べたがわかりませんでしたが、みんな同じということはないでしょう。せめて、国やWHOなどが世界的なパンデミックに対して同じ目線に立てるように働きかけるべきだとは思う。

②各国によるCT値の違いとその影響
 これもネット情報なので、正確かどうかはわからないが、PCR査におけるCT値も各国でバラバラのようだ。日本、アメリカ、イギリスなど欧米先進国ではCT値40以上、一方で中国や韓国は35くらいだそうだ。PCR検査はコロナウイルスのDNAを増幅してその有無を調べるものだ。最初に5つあれば陽性反応するらしい。
計算してみると 5×2の35乗=約1700億
        5×2の40乗=約5兆5000億
これはかなりの差ではないだろうか。では、CT値を35にした場合、40の場合に比べて陽性者数にどれだけの変化があるのだろうか?調べた範囲ではそれに言及したデータは見つからなかった。専門家会議とかで話されているのだろうか?

③インフルエンザ患者数、死者数との関係
季節性インフルエンザの場合、流行のピークとなる1~2月には、1日で40~50人が亡くなる。12月中旬から新型コロナでの死亡者も大体同じくらいになっている。しかも、2020年6月19日、厚生労働省は各都道府県に「国の基準」で「コロナ死者数」を見直すように通達し、「コロナ感染が分かり、その後死亡した人は死因を問わず、新型コロナで死亡したと全て公表する」となった。つまり、死因が何であれ、PCR検査で陽性と出たらそれはコロナ死者数にカウントされるわけだ。これも、なんとなく我々のイメージとは違う。新型コロナによる肺炎で死亡した人だけではないのだ。そう考えると、「命を守るためには何でもしろ!」という至極まっとうな言葉も嘘っぽく聞こえる。じゃあ、インフルエンザで経済活動をこれほどまでに止めるだろうか?だから、ほおっておけばいいとは言いませんが、やりすぎではありませんか


④第三波と季節の関係
 オーストラリアの感染状況の推移をみると、7月初めから急拡大し、8月10日あたりで最大になり、9月10辺りで収束している。南半球なので日本の感覚で言うと1月初めから急拡大、2月10日最大、3月10日収束となる。要するに冬の時期にははやるということだ。新型コロナをただの風邪とは言わないが、風邪とよく似た性質を持ち合わせていることは確かだ。オーストラリアやニュージーランドのような人口密度が極端に小さい国で、人の移動による影響をあまり考慮しなくてもいいにもかかわらず、このような顕著な数字が表れることが、季節の関係がかなりある事の証拠ではなかろうか。もちろん、南アフリカなど変異種が現れた場合には、第3波というより、第一波として季節との関係はなく感染者が増えていくが、現状の日本においては季節の影響だろう。おそらく、こんご感染者数は2月にかけて一日万単位になり、3月の中頃には落ち着いてくるだろう。緊急事態宣言など関係なく。


⑤各国の指定感染症として取扱い
 日本における指定感染症は5つに分類されている。
1類感染症エボラ出血熱やペストなど)
2類感染症SARSやMERSなど)
3類感染症コレラや腸チフスなど)
4類感染症(肝炎など)
5類感染症(インフルエンザなど)
 そして、新型コロナは令和2年2月1日施行の政令で指定され、次のような措置が実施されることになった(期限は1年で再延長された)

1 感染者に入院や就業制限を勧告する=これは2類以上に適用される措置だ。
2 無症状の感染者にも同じ措置(入院や就業制限の勧告)を取る=これは1類に適用される措置だ。
3 濃厚接触者に外出自粛などを要請する=これは2009~10年に流行した新型インフルエンザに適用された措置だ。
 つまり、新型コロナは2類ないし1類に相当する感染症とみなされている。

 これが明らかにやりすぎだというのは誰でもわかることだが、これまで「危険な感染症」だとしてきたものを急に「インフルエンザ並みの感染症」に変更することは、今の政治家には出来ないだろう。安倍首相が退陣の時の会見で指定感染症の見直しについて言及したが、マスコミはほとんど無視をしていたが、本当は彼が辞める時に思い切ってやってしまえばよかった。今となっては立憲民主党あたりが、「命を粗末にするな!」とかいいそうだし、マスコミもこぞって反対するので無理だ。まあ、こういう時こそ専門家会議で客観的に判断してもらいたいが、あまりにも頼りなさ過ぎて無理でしょう。

⑥GO TOとの関係
 11月からずっと、マスコミでは「GO TOキャンペーンやめろ!」キャンペーンが行われていて、東京発着、そして最終的に12月18日に禁止された。もし、go to が主要因だったとしたら、年明けには効果が見られるはずであるが、そうはなっていない。マスコミは政府の施策を潰したらそれで終わりであり、検証もしないなあと思っていたら、先日の新聞の片隅に「go to 停止 空振り」という見出しがあった。おいおい、それってひどくないか?マスコミがあれだけ騒いで停止させておいて、空振りで済ませるのはどうなんだろうか?魔女狩りのごとく、次から次へと犯人探しに明け暮れるマスコミに辟易する。

医療崩壊の理由、日本医師会との関係
 これも指定感染症との関係で2類相当にしているので、対応している病院がものすごく限られている。10万床と言われる東京の病床数に比して、コロナ用のベッドは3000あまり。主に公立の病院だけが苦労して引き受けているのが現状である。日本医師会は開業医の組合なので、彼らは基本的にはコロナ対応の外にいる。その割にテレビで医療崩壊を叫んでいるのは、医師会関係の人々である。プライベートも削ってコロナに向かっている医療従事者が、テレビのワイドショーにのんきに出ていられるわけがない。そんな暇があるなら、現場で手伝えば?

⑧専門家委員会の役割
 尾身会長を中心とした専門家会議ですが、何をしているのかよくわからない。人の接触を避けてとか、緊急事態宣言が必要だとか、ステージ4だとか、医療崩壊が近いとか、言っていることは小池知事と大差ない。全然専門的な内容がない。上に書いたような事柄について専門家として正しい知識を国民に教えてほしい。マスコミの素人コメンテーターの言っていることが正しいと思っている我々にデータに基づいた冷静な分析をしてほしい。人気商売である政治家ができない身を切る提言をしてほしい。無理か・・・


 こうやって今思っていることをつらつら書いてみたが、正直言って絶望感しかない。政治はいったん決めたことを変えることができない。政治家の皆さんもバカではないので、みんな「ちょっとピンとずれてるなあ」とおもっているはずだ。でも、「まあいいか、自分が矢面に立つ必要もないか」くらいにしか考えていないのだろう。こんなに市中感染が広まっているのにいまだにクラスター対策やっている虚しさ。もうそんな時期はとっくに過ぎているのに、ねずみ講のように濃厚接触者をひたすら追い求めている。資源の無駄使い以外の何物でもない。しかし、「コロナから命を守る」という誰も反対しえないお題目の下では何もできない。
 暖かくなる3月中旬には少しずつ収まっていくでしょう。でも、そのときには立ち直れないくらいに日本は疲弊しているだろう。残念だ。