グーグルの便利さと恐ろしさ

 少し前の話だが、お盆を利用して山陰地方を巡る旅を計画した。出雲大社鳥取砂丘など、普段なかなかいけないところ(あるいは一生行かないところ)を巡ってみようと思ったわけだ。JALの超早割で3ヶ月くらい前にネットで予約をしておいた。ホテルもレンタカーもすべて予約して、あとは行くばかりとなった時に、あの台風が襲来してきた。お盆の時期に四国から中国地方を横断する台風が来るとは想像もしていなかったが、台風の進路予想は無情にも旅行場所を直撃しそうだった。一縷の望みは朝方、出雲に到着する予定だったので、台風が来る前に着陸できるかもしれないと言うことだった。

 さて、前日の夕方である。スマホの画面に見慣れぬグーグルの通知が届いていた。開いてみると「羽田ー出雲 明日欠航」という文字が見えた。「ダメだったか」という残念な気持ちを持ったが、そのすぐ後にふと気がついた。

「なんでグーグルからこんなピンポイントの連絡が来るんだ?」

 私は別に通知の設定もしていないし、ネット検索ではあちこちの空港の発着状況なども見ていたはずだ。なのに、グーグルは私の購入したチケットからこの通知を送ってきたのだ。要するに、私の購入履歴はグーグルに筒抜けだということだ。

 もちろん、今回早めに欠航の連絡が来たことで、キャンセルの手続きが容易にできたことはありがたかった。しかし、こうもはっきりと自分のネット閲覧が蓄積されていることに恐ろしさを感じた。最近ではビッグデータとして、個人の情報を集積して消費行動などを分析することに使っているという話は聞いていたが、情報を大きな容器に入れてかき混ぜているようなイメージを持っていた。そうではなくて、一人一人のアカウントに紐付けられて、すべてのデータが保存されているようだ。

 いまさら何を言っているのかと思う人も多いかもしれないが、自分が3ヶ月以上前に予約した航空券の運行状況が突然、通知されてくる気味悪さは経験してみないとわからないかもしれない。