プロフェッショナルの流儀~神田伯山そして川谷絵音

 完全に某公共放送のパクりであるが、本家とは全く関係がない。ここ最近気づいた二つの事柄にぴったりの言葉を探しているうちに思いついた言葉がこれだった。

 神田伯山は今や飛ぶ鳥を落とす勢いのある講談師である。私は一年くらい前から彼の存在を知り、チケットがとれないと言われる彼の独演会を見て、テレビ番組やラジオ番組を見てファンになった。いわゆるにわかファンである。特にTBSラジオの「問わず語りの松之丞」はラジオクラウドで第一回目から聞いている。これが異常に面白いのだ。彼がまさしく一人語りをしているだけなのだが、話の持って行き方や落ちの付け方間の取り方すべてがよくできていて、面白いだけでなく、毎回「うまいなあ~」と感心してしまう。どうやったらこんなに上手に話ができるのかと思いながら「天才」というカテゴリーにしまっていた。

 ところが、先日放映していた彼の「情熱大陸」の一部分を見て驚いた。ラジオの収録風景であったが、手元には話す内容がメモ書きしてあり、30分番組をとるために3時間を費やしているらしい。そのときの放送は納得いかなかったのかテイク2をしていた。収録の時にちょっときて、好きなことをしゃべっているのだと、安易に考えていたが、とんでもなかった。面白い作品を作るのにどれだけの努力を費やしているのか改めて思った。そして、140あるという講談のレパートリーはすべてノートに一言一句書き取られており、それを通して100回以上読み込んでいるということだから驚きだ。

 話は変わって川谷絵音である。文春砲にやられてバッシングを受けていたが、犯罪を犯したわけではないのにこんな才能を潰してしまったら大きな損失になる。ゲスの極み乙女。の斬新な音楽だけでなく、ジェニーハイ、Indigo la Endなどそれぞれ趣の違う音楽を出してくるあたり、音楽性の広さには驚いてしまう。

 そして、先日放映していた「閑ジャム」である。彼だけでなく、一流のミュージシャンがイントロにどれだけ細心の注意を払っているかが初めてわかった。音を一つ一つ吟味して、リスナーがほとんど聞き取れない位の細部にわたって作り上げていた。湧き出るようにして音楽が生まれているのかと思っていたが、とんでもない時間と労力を使った作り上げていたのだ。

 我々凡人は得てして「あの人は天才だから」という言葉を安易に使う。まるで、我々凡人の方が苦労をしているかのように。しかし、本当はそうではないのだ。才能のある人間が、凡人には想像もつかないような苦労をして作品を作り上げているのだ。

 才能とそれ以上の努力

これこそがプロフェッショナルの流儀なのだ。