参議院選挙

 大きな波乱もない参議院選挙が終わった。相変わらずの低投票率で50%を割っている。ようするに有権者の二人に一人しか投票に行かないという計算である。民主主義の限界が叫ばれて久しいが、自分の一票が政治を変える実感のない現状では、この投票率の低調さはこれからもずっと続くのだと思う。

 新聞に書いてあったが、投票所に行って一票を投じる手間とその一票による政治の変化を考えると投票行動というのは費用対効果がかなり低いのだそうだ。よくニュースキャスターあたりが、一票では確かに何も変わらないが、その一票さえ放棄してしまったら何も変わらないという主旨の話をしている。しかし、現実には本当に何も変わらない。誰かを選んで国会に送り込んでも、たいした議論もなく政権の思惑通りにことは進んでいく。国民全体があるベクトルに向かって意識を統一していくなら変化はあるだろうが、多様性が進む今の現状ではそういったことは起こりにくい。

 今回の選挙では多様性の一面として「れいわ新撰組」とN国が2%以上の得票を得て政党要件を満たしたらしいが、それが今後大きく社会状況を変えていくとは考えにくい。政権という大皿の脇にある漬け物ぐらいの存在感にすぎない。

 先進国はどこも低投票率らしいが、現状に対する不満が爆発でもしない限り、選挙で何かが変わると言うことはない。そして、混沌としている現代社会では、完全なる正解をもった政党や政治家など存在しないので、一つにまとまることもない。民主主義の良さを生かすシステムが他にないのだろうか?

 香港のように本当の意味の民主的な選挙ができない地域の人々はデモという行動でしか、政治的意思を伝えることが出来ない。そういった人々から見れば贅沢な悩みなのかも知れない。