天使がくれた時間 ネタバレ

 

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 ウォール街で成功し、豪華な暮らしをしていたジャック(ニコラス・ケイジ)はある日、突然、違う人生をおくっていた!目覚めるとそこは今まで見たことがない部屋。横には13年前に別れた恋人ケイト(ティア・レオーニ)が眠り、二人の子供のパパになっていた。 「その世界」でのジャックは現実とは全く違うタイヤセールスマンの平凡な夫。やがてジャックに、現実の世界へ戻る時が近づいてくるが…。 

 

  もし、あの時、別の選択をしていたら・・・。そういったことは誰しも考えると思う。この映画はそういったことを考えたことのある大人のためのメルヘンである。お金で手に入らないものはないと考えていたジャックにとって、パラレルワールドはさえないタイヤ販売員であり、子供の世話や犬の散歩など毎日がルーティンの退屈な世界だったはずだ。しかし、次第に自分にとって一番大切なものがなんであるのかに気づく。それは、誰かを愛すること、そして誰かに愛されること。実にわかりやすい物語だ。

  しかし、「きらめきは一瞬しか続かない」つまり、醒めない夢はないのだ。ジャックは否応なく現実の世界に引き戻される。私はこの後、ケイトのもとへ行って、ハッピーエンドなのかなと思っていたが、そうではなかった。この映画のメッセージはここからだと思う。

  現実世界のケイトはジャックと同じようにバリバリのキャリアウーマンであった。ジャックと復縁する素振りなど微塵もなく、どうなってしまうのかと思った。だが、パリへ向かう搭乗ゲートでジャックは素直な気持ちを告げて、ケイトを引き戻す。

  この物語は単なるメルヘンでもなければ、「愛こそはすべて」を伝える映画ではなかった。人生は選択の連続である。時としてそれはうまくいかないときもある。しかし、いつでもやり直す機会はあるということと、その機会を生かすも殺すも自分次第なんだということを伝えている。「あの時こうしていれば・・・」ではなく、「今、こうするんだ」という勇気を与えてくれる。まあ、人生そんなにうまくいかないわけだから、これもまたメルヘンの世界といえばそうなのだが・・・・