ドラマミシュラン

 私の数少ない趣味の一つがテレビドラマ鑑賞である。鑑賞歴は20年以上になるだろうか?甘酸っぱい恋愛ドラマを見ていた頃もあったが、最近ではそういったドラマに全く触手が伸びず、刑事物、医療物、そして人間ドラマなどをたくさん見ている。そして、ドラマ評論家であるかのように、偉そうにキャスティングやストーリーについてぶつぶつ言いながら毎週見ている。

 さて、そんなわけで今クールで気になった物を2,3ピックアップして感想などをまとめておく。自分のための備忘録のような物としてですが。

 

 「TWO WEEKS   & サイン」

 両方とも韓流ドラマのリメイクである。前者はハリソンフォードの「逃亡者」を思わせる展開であるが、両者に共通しているのは、権力に対する怨念にも似た恨みがドラマの底流に流れていることだ。権力を絶対悪とし、あらゆることがこの権力によって歪められていく。主人公達の努力によりやっとつかんだ糸口がいともあっさりと権力によって潰されていく。そして、近親者が病気であることもらしいといえばらしい。一昔前の大映テレビを彷彿とさせる。しかし、最後にくるであろうカタルシスにむかう展開は嫌いではありません。

 「ノーサイドゲーム」

 これも実は上記のドラマと同じ構造です。悪である権力に対して立ち向かう主人公がその内に倍返しをする。次から次へと降りかかる困難にもめげず主人公が周囲の人を動かしながら克服していきます。池井戸潤さんの話は基本的に韓流ドラマと同じです。むこうで受けるのではないでしょうか。相変わらずのアップの多用と、毎回の感動的なエンディングはもはや水戸黄門の域です。エンディング曲の米津さんの曲も素晴らしい。

 「これは経費では落ちません」

 最近のNHKドラマはクオリティが高い。安易に恋愛物、刑事物、医療物に頼らず、ドラマとして成立するのか分からない分野に取り組んでいる。攻めているなあという感じです。この作品も中小企業の経理部という何とも地味な職場での出来事を描いている。しかし、働くとは何か、正しさとは何か、生きることとは何か、そういた根源的な問題を様々なエピソードの中で考えていく構成になっています。「ウサギは追うな」といって、疑惑の追及を避けようとしているが、結局追求してしまう。そこから主人公も、周りの人も成長していく。今期のベストドラマといっても良い出来です。